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デンマルク国の話、その3
しかるにこのデンマーク本国がけっして富饒の地と称すべきではないのであります。
国に一鉱山あるでなく、大港湾の万国の船舶を惹くものがあるのではありません。デンマークの富は主としてその土地にあるのであります、その牧場とその家畜と、その樅と白樺との森林と、その沿海の漁業とにおいてあるのであります。
ことにその誇りとするところはその乳産であります、そのバターとチーズとであります。
デンマークは実に牛乳をもって立つ国であるということができます。
トーヴァルセンを出して世界の彫刻術に一新紀元を劃し、アンデルセンを出して近世お伽話の元祖たらしめ、キェルケゴールを出して無教会主義のキリスト教を世界に唱えしめしデンマークは、実に柔和なる牝牛の産をもって立つ小にして静かなる国であります。
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