2012年8月14日火曜日

デンマルク国の話、その6

「今やデンマークにとり悪しき日なり」と彼の同僚はいいました。
「まことにしかり」とダルガスは答えました。
「しかしながらわれらは外に失いしところのものを内において取り返すをべし、君らと余との生存中にわれらはユトランドの曠野を化して薔薇バラの花咲くところとなすを得べし」と彼は続いて答えました。


この工兵士官に預言者イザヤの精神がありました。彼の血管に流るるユグノー党の血はこの時にあたって彼をして平和の天使たらしめました。他人の失望するときに彼は失望しませんでした。彼は彼の国人が剣をもって失ったものをすきをもって取り返さんとしました。今や敵国に対して復讐戦ふくしゅうせんを計画するにあらず、すきくわとをもって残る領土の曠漠と闘い、これを田園と化して敵に奪われしものを補わんとしました。まことにクリスチャンらしき計画ではありませんか。真正の平和主義者はかかる計画に出でなければなりません。

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