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デンマルク国の話、その9
まず溝を穿ちて水を注ぎ、ヒースと称する荒野の植物を駆逐し、これに代うるに馬鈴薯ならびに牧草をもってするのであります。このことはさほどの困難ではありませんでした。
しかし難中の難事は荒地に樹を植ゆることでありました、このことについてダルガスは非常の苦心をもって研究しました。植物界広しといえどもユトランドの荒地に適しそこに成育してレバノンの栄えを呈わす樹はあるやなしやと彼は研究に研究を重ねました。
しかして彼の心に思い当りましたのはノルウェー産の樅でありました、これはユトランドの荒地に成育すべき樹であることはわかりました。しかしながら実際これを試験してみますると、思うとおりには行きません。樅は生えは生えまするが数年ならずして枯れてしまいます。ユトランドの荒地は今やこの強梗なる樹木をさえ養うに足るの養分を存しませんでした。
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