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デンマルク国の話、その14
かくのごとくにしてユトランドの全州は一変しました。廃りし市邑はふたたび起りました。新たに町村は設けられました。地価は非常に騰貴しました、あるところにおいては四十年前の百五十倍に達しました。道路と鉄道とは縦横に築かれました。わが四国全島にさらに一千方マイルを加えたるユトランドは復活しました、戦争によって失いしシュレスウィヒとホルスタインとは今日すでに償われてなお余りあるとのことであります。
しかし木材よりも、野菜よりも、穀類よりも、畜類よりも、さらに貴きものは国民の精神であります。デンマーク人の精神はダルガス植林成功の結果としてここに一変したのであります。失望せる彼らはここに希望を恢復しました、彼らは国を削られてさらに新たに良き国を得たのであります。しかも他人の国を奪ったのではありません。己れの国を改造したのであります。
自由宗教より来る熱誠と忍耐と、これに加うるに大樅
、小樅の不思議なる能力とによりて、彼らの荒れたる国を挽回したのであります。
ダルガスの他の事業について私は今ここに語るの時をもちません。彼はいかにして砂地を田園に化せしか、いかにして沼地の水を排いしか、いかにして磽地を拓いて果園を作りしか、これ植林に劣らぬ面白き物語であります。これらの問題に興味を有せらるる諸君はじかに私についてお尋ねを願います。
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