2012年8月21日火曜日

デンマルク国の話、その13

しかし植林の善き感化はこれにとどまりませんでした。樹木の繁茂は海岸より吹き送らるる砂塵すなほこりの荒廃をめました。北海沿岸特有の砂丘すなやまは海岸近くに喰い止められました、もみは根を地に張りて襲いくる砂塵すなほこりに対していいました、

ここまではきたるをべし
しかしここを越ゆべからず

と(ヨブ記三八章一一節)。北海にひんする国にとりては敵国の艦隊よりも恐るべき砂丘すなやまは、戦闘艦ならずして緑の樅の林をもって、ここにみごとに撃退されたのであります。

 霜は消え砂は去り、その上に第三に洪水の害は除かれたのであります。これいずこの国においても植林の結果としてじきに現わるるものであります。もちろん海抜六百尺をもって最高点となすユトランドにおいてはわがくにのごとき山国やまぐににおけるごとく洪水の害を見ることはありません。しかしその比較的に少きこの害すらダルガスの事業によって除かれたのであります。

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