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デンマルク国の話、その12
しかし植林の効果は単に木材の収穫に止まりません。第一にその善き感化を蒙りたるものはユトランドの気候でありました。樹木のなき土地は熱しやすくして冷めやすくあります。ゆえにダルガスの植林以前においてはユトランドの夏は昼は非常に暑くして、夜はときに霜を見ました。
四六時中に熱帯の暑気と初冬の霜を見ることでありますれば、植生は堪ったものでありません。その時にあたってユトランドの農夫が収穫成功の希望をもって種ゆるを得し植物は馬鈴薯、黒麦、その他少数のものに過ぎませんでした。しかし植林成功後のかの地の農業は一変しました。夏期の降霜はまったく止みました。
今や小麦なり、砂糖大根なり、北欧産の穀類または野菜にして、成熟せざるものなきにいたりました。ユトランドは大樅の林の繁茂のゆえをもって良き田園と化しました。木材を与えられし上に善き気候を与えられました、植ゆべきはまことに樹であります。
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